熊本地震に伴う雇用保険の特例措置



熊本地震後に、熊本県内にある10カ所のハローワークと6カ所の労働基準監督署に寄せられた、地震に関する労働相談が約1万2000件に達したことが、熊本労働局への取材で分かった。職を失った労働者らに支払われる「失業給付」に関する相談が過半数を占める一方、事業者が休業中の従業員に支払う「休業手当」に絡む相談も約2割あり、労使双方の苦悩ぶりを裏付けた。地震の影響で実際に離職した人も少なくとも568人おり、雇用への影響が広がりを見せ始めている。(毎日新聞ニュースより抜粋)

上記の報道のとおり、熊本地震による「職」への不安が顕在化してきました。熊本市のハローワークには、今回の地震で職を失った人や借金をして給与を支払っている経営者らも訪れており、連日2時間以上待ちの状態となっているようです。
中でも失業給付に関する相談が約54%を占めているという事で、激甚災害指定に伴う失業給付に関する特例措置についてまとめてみました。

通常、失業給付は、将来同じ勤務先に再就職する約束のない退職者にしか支払われません。しかし、休業中や、一定期間後に再就職する約束があっても払われる特例措置が実施されています。現在、実際に利用している人は568人で、特例を利用できる潜在離職者は、さらに多いとみられています。

特例措置は三つあります。
1、ハローワークに来所できない場合は、「失業認定日の変更」が出来ます。

通常は、失業認定日にハローワークに来所しない場合、やむを得ない事情があって事前に連絡しないと失業給付は受けられません。しかし、今回の特例措置により事前の連絡や、やむを得ない事情を証明する書類を提出することなく失業認定日の変更が出来ます。また、やむを得ない事情がある場合は、求職活動実績は問われません。(通常、認定日までに2回以上の求職活動実績が必要。)
認定日に来所できなかった方は、来所日の前日までの認定を一括で行います。通常は、認定日に28日分の認定を受けて給付されます。認定日に来所できない場合は、28日分に来所日前日までの分が加算されます。

2、他のハローワークでも失業認定の手続きが出来ます。

通常は、居住地を管轄するハローワークでしか失業給付の認定手続きは出来ません。しかし、今回の特例措置により災害による交通の途絶や遠隔地への避難などにより管轄のハローワークに来所できない場合は、その他のハローワークで手続きが出来ます。また、認定書類が無い場合でも手続きが出来ます。(通常は、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が必要。)

3、災害時における雇用保険の特例措置があります。

地震の時点で熊本県内の事業所で勤務していた方についての特例措置です。雇用保険に6ヶ月以上加入している必要があります。
①、災害により休業した場合

災害によって、熊本県内の事業所が休止・廃止となり離職ではないものの賃金が受け取れない方には、特例措置として失業給付が受けられます。

②、災害により一時的に離職した場合

災害によって、熊本県内の事業所が休止・廃止となり一時的に離職した方には、事業再開後に同一事業所に再雇用の予定があっても特例措置として失業給付が受けられます。

※、退職理由が自己都合などで3か月の給付制限を受けている場合は、1ヶ月に短縮されます。

【手続きに必要な書類】

①の場合、雇用保険被保険者休業票。
②の場合、雇用保険被保険者離職票。
①・②ともに運転免許証などの身分証明書、本人名義の預貯金通帳(カード可)、縦3㎝✕横2.5㎝の写真。
上記の書類が揃わない場合でも手続きが可能なようです。お近くのハローワークにご相談ください。

特例措置の利用にあたって、以下の点にご注意ください。

この制度を利用して失業給付を受けると、休業が終了して再度、雇用保険被保険者資格を取得しても、以前の被保険者期間を引き継げないというデメリットがあります。
失業給付は、被保険者期間によって給付日数が定められています。若い方は復職後の被保険者期間が長くなるため影響はありませんが、50歳以上の方は復職後の被保険者期間が短くなり、もし再び失業した場合に被保険者期間が短くなるため十分な受給期間がとれなくなります。50歳を過ぎての就職活動は比較的困難なため、できるだけ受給期間を長くとる必要があります。これはデメリットと言えるでしょう。

如何でしたでしょうか。職を失うという事は生活の糧を失う事であり大変重要な問題です。家族を不安にさせてしまいます。読者の皆様の知人や友人に被災された方がいらっしゃれば、是非こういう制度があることをお伝えください。本投稿をシェアしていただいても結構です。但し、デメリットがあることもお伝えください。私は、数か月の間であれば預貯金や保険金で凌げるのであれば、必ずしも制度の利用をお勧めしません。まず、ハローワークに行って詳しく説明を聞いた上で、ご判断されることをお勧めします。

参考資料:厚生労働省発行(特例措置の概要・熊本労働局管内のハローワーク一覧表)

雇用保険特例



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